納豆ダイエットを格付け!効果やメリット・デメリットは?

納豆ダイエットの方法は以下の通りです。

①1パック(40~50グラム入り)、または2パックの納豆を毎日食べる

②今までの食事は制限することなく、そのまま続ける。

④納豆を朝食べるという方法と、夜食べるという方法がある

納豆ダイエットの背景

この方法が話題になったのは、2007年に関西テレビで放映された「発掘!あるある大事典2」で、番組中に納豆のダイエット効果が紹介されたことです。

種明かしを先にすれば、当時の朝日新聞電子版によると、同番組で使用された内容にねつ造が発覚、テレビ局側もこれを認め、系列各局での放映を中止するにいたったということでした。ほぼすべてのデータと取材内容が偽りだったようです。

騒ぎの最中、私もメディアからコメントを求められ、こう答えたのを覚えています。

「ダイエットに関する科学的な調査はほぼすべて海外で行なわれていて、和の食材を対象にしたデータはほとんど存在しない。納豆のダイエット効果についても、不明としか言いようがない」と。

納豆の成分は、三大栄養素が中心で、ほぼ同じくらいずつ含まれています。他に、出血を止める働きをするビタミンK、がんの発生を抑える(抗酸化物質の)イソフラボンやサポニン、血液をさらさらにする酵素ナットウキナーゼ、各種消化酵素なども含まれていて、1パックで100キロカロリーほどと、優良健康食品のひとつであることは間違いありません。

しかしダイエットの効果があるかどうかは別問題です。1パック分で100キロカロリーですから、茶碗に4分目ほど盛ったご飯と同じ熱量があります。食事とおやつの量をそのままに、納豆(つまり大豆)まで加えてやせられるというのは、理解しがたい話です。

もしかして大豆には、なにか秘密のやせる成分が入っているかもしれない、と期待する向きもあるかもしれません。欧米では、昔から「やせ薬」なるものがいろいろありました。たとえば風邪薬や痛み止めの成分として使われていたアスピリンです。この薬でなぜやせるのかといえば、胃腸を悪くする副作用があり、そのため食欲が落ちてしまうからです。アスピリンの副作用は他にもあり、いま日本で発売されている風邪薬にはいっさい配合されていません。

多くのやせ薬には、他にも下痢を起こさせる作用、脳を麻痺させる作用、ホルモンとして働いて体の活動を止めてしまう作用などがあります。

納豆の起源は古く、一説では弥生時代に始まるともいわれており、古来日本人の健康を支えてきた食品です。そこに、やせ薬のような恐ろしい成分が含まれているはずもありません。

納豆ダイエットの良い点

優良食品であることを考えれば、バナナダイエットと同様に1食分を抜き、その代わりに納豆1パックだけを食べるようにすれば、きっとやせられるでしょう。1パック分で、茶碗4分目ほどのご飯に相当するカロリーがあるため、そこそこの満腹感も得られ、「朝納豆だけダイエット」などは有効かもしれません。

ただし実証データはなく、また毎日、続けられるかどうかも保証の限りでありません。

 

納豆ダイエットの疑問点

納豆そのものではなく、原料となる大豆については欧米で多数の調査が行なわれています。とくに注目されているのは、「大豆たんぱく」と抗酸化物質「イソフラボン」です。たとえば大豆たんぱくについては、対象者を2つのグループに分け、その一方にたんぱく質として赤肉だけ、もうひとつのグループは大豆だけにして、両者を追跡したという研究がいくつかあります。両グループとも、総カロリーとたんぱく質の割合は、もちろん同じです。

その結果、大豆をとった人たちのほうが、あきらかに体重が減ることがわかりました。

理由として、影響を及ぼしているのは大豆たんぱくではなく、いっしょに含まれているイソフラボンのほうがホルモンに作用し、中性脂肪やコレステロールを下げるためであることが、別の研究でわかりました。

ただし実験では、250グラムもの大豆を食べており、納豆に換算すれば5パック分に相当するため、実用上の意義は疑わしいということになります。いずれにしろ食事の量は制限せず、納豆を1パック加えるとやせるとの主張は、やはり間違っています。

では納豆、あるいは大豆を食べすぎて、なにか健康上の問題はないのでしょうか。

イソフラボンは、植物が作るホルモンのひとつでもあるのですが、偶然、ヒトの女性ホルモンによく似た構造をしています。そのためヒトの体内で、女性ホルモンが結合する部位(受容体)に簡単に結合してしまい、ホルモンとして働くことがわかっています。つまり女性の月経周期に良い影響を与え、結果的に乳がんの発生を抑える効果があるようです。男性がイソフラボンをとりすぎるとどうなるのかも気になります。精子を減少させてしまうなどの説もあるのですが、いまのところ確認は取れておらず、男性にとってもとくに問題はなさそうです。

納豆を毎日食べても、健康に対する悪影響は、男女ともないと考えてよいでしょう。

 

 

納豆ダイエットの格付け

6点/10点

 

▼理由

・納豆自体はきわめて優良な食品であり、健康に対する害もない

・同じ食品を食べ続けると飽きてしまうため、長続きするかどうかは疑問

・納豆を加えるだけでやせるという主張は間違っている。

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