プロテインダイエットを格付け!効果やメリット・デメリットは?

プロテインダイエットの方法は以下の通りです。

①市販のプロテインサプリメントを選ぶ

②たんぱく質として1日に体重の1キログラム当り1グラムほど取る(体重60キログラムの人は60グラム)

③1食分か2食分を、少量の主食や野菜とともにプロテインサプリメントに置き換える

④筋トレをしている人はその直前か直後にとる

 

プロテインダイエットの背景

「プロテイン」とは、たんぱく質のことですが、ダイエットの話ではサプリメントを指しています。以下、本書でもプロテインサプリメントの話題に限り、このプロテインという言葉を使うことにします。

たんぱく質は、食べすぎても肥満の原因とはなりにくいため、昔からダイエットの定番となっていました。しかし欧米では、おもなたんぱく源が動物の肉であることから、肉料理をいくら食べても太らないという誤った情報が広まってしまいました。肉料理には脂肪が多く含まれていますから、食べ過ぎれば太りますし、動脈硬化症や心臓病になるリスクが高まってしまいます。

そこで登場したのが、脂肪などを含まずたんぱく質だけを粉末やドリンクにしたプロテインサプリメントでした。以下、いくつかの製品について1杯分の情報を比べてみます。

▼製品A:たんぱく質10.9グラム、190キロカロリー(低脂肪乳で溶かす)、130円

▼製品B:たんぱく質20グラム、179キロカロリー(水に溶かす)、255円

▼製品C:たんぱく質16.8グラム、78キロカロリー、80円

どの製品も原料は大豆です。動物性のたんぱく質との違いは、アミノ酸の組成にあります。第1章で述べたとおり、食品中のたんぱく質は多数のアミノ酸でできていますが、うち9種類(必須アミノ酸)は体内で作ることができないため、その組成は健康上、大きな意味を持ちます。しかし大豆から精製したプロテインと、肉から精製したプロテインを比べた研究はひとつしかなく、血圧など健康に与える影響に差はないとの結論になっていました。

一般書の例

『基礎代謝UPで燃えるカラダを作る プロテイン・ダイエットレシピ』(山崎志保著、河出書房新社)

『プロテインを使った健康ダイエット入門講座』(三好幸治著、ヒカリ)

 

プロテインダイエットの良い点

食品中のたんぱく質のダイエット効果について調べた興味深い実験があります(文献2)。実験中の参加者に3時のおやつとして、

 ・たんぱく質の多いヨーグルト

 ・クラッカー

 ・チョコレート

の3種類のうち、どれかをまず食べてもらい、その直後から夕食前までの間に「満腹感をどれくらい感じたか?」「空腹感をどれくらい感じたか?」などについてアンケートに答えてもらったのだそうです。そのあと、あらかじめ決められた時刻に夕食をとってもらったのですが、食べるものはピザに限定され、30分以内に、かつ腹八分目くらいでやめるという条件がつけられました。

次に、日を変えて参加者に別のおやつを食べてもらい、同じ手順が繰り返されました。すべての参加者が3種類のおやつについて同じことを行なって、実験は終了しました。3種類のおやつはどれも160キロカロリーとなるよう調整してありましたが、違っていたのは、ヨーグルトだけが14グラムのたんぱく質を含んでいることでした。3種類のおやつを食べる順番は、なるべくバラバラになるようくじ引きで決めました。食べる順番が色濃く結果に影響を与えるかもしれないからです。

結果は非常に興味深いものでした。たんぱく質をたっぷり含んだヨーグルトをおやつに食べたとき、明らかに満腹感が高まり、夕食の量が少なくすんでいたのです。

この結果については2つのことが考えられます。ひとつは、同じカロリーのクラッカーやチョコレートに比べると、ヨーグルトのほうがボリュームも多いためお腹が膨らむからではないかということで、もうひとつは、たんぱく質そのものに満腹感を高める性質があるのかもしれないということです。ただし、体重に変化があったかどうかは、この実験の目的ではなかったようで報告されていませんでした。

 

プロテインダイエットの疑問点

たんぱく質の不思議な性質については、興味深い動物実験が行なわれています。たんぱく質は、体の中で細胞や酵素などを再生する材料として使われ、また筋肉を動かすために利用されていることを述べてきましたが、もうひとつ大切な仕事があります。それは体温を調節するための熱を発生させていることで、舞台は「褐色脂肪細胞」です。

複雑な動物実験の結論だけをまとめると、たんぱく質の量を極端に減らすか、または極端に増やすと炭水化物や脂肪の吸収までうまくできなくなり、総カロリーは同じでも体重は減少していくというものでした。最適なたんぱく質の量は、総カロリーの20%だったそうです。

ヒトでも同じ目的の実験が行なわれています(文献4)。一日に食べるたんぱく質の量を「少なめ(5%)」「普通(15%)「多め(25%)」の3つのグループに分け、かつ総カロリーを大幅に増やして、いっせいに太らせようとした実験でした。カッコ内は総カロリーに対する割合です。3つのグループそれぞれの総カロリーは、もちろん同じにそろえてあります。

7週間後、体重がもっとも増えていたのは、たんぱく質を極端に多くとっていた人たちでした。また逆に、たんぱく質を極端に減らしてしまうと、体重はほとんど増えないこともわかりました。体重だけでみれば、プロテインをとらないほうが、むしろやせられるという結果だったわけで、世間の理解とは逆の結果になったのです。

さまざまなデータをつき合わせると、たんぱく質には適量があり、多すぎても、また少なすぎても体には何らかの悪影響があると解釈されます。体重の変化は「やせて良かった」という話ではなく、健康状態が悪化したためと考えるべきでしょう。とくに職業的ボディビルダーのように、激しい筋トレをしながら大量のプロテインサプリメントをとり続ける人がいますが、効果はともかく安全性は保証されていないのです。

さて、まとめですが、1年以上、プロテインダイエットを続けるのは危険かもしれません。プロテインサプリメントの使用は、あくまで短期間に留めるべきであり、とりすぎないことが大切です。

 

プロテインダイエットの格付け

2点/10点

 

▼理由

・半年以内の短い間であれば、健康上の問題はとくにない

・お金がかかるプロテインサプリメントは、モチベーションを高める効果があるかも

・プロテイン自体にダイエット効果はない

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です