バナナダイエットを格付け!効果やメリット・デメリットは?

バナナダイエットとは簡単に説明すると以下のダイエット方法です。

①朝食にバナナだけを好きなだけ食べ、室温と同じ温度の水を飲む

②昼食と夕食はなにを食べてもよい(夕食は8時までに終える)

③3時のおやつも食べてよい

④食後のデザートはだめ

⑤深夜までには寝る

 

バナナダイエットの背景

数年前、朝バナナダイエットという言葉が大流行しました。しかし、「朝バナナ」という言葉は商標登録がなされていて、第三者がこの言葉を勝手な解釈で使うことはできません。商標登録とは、その名称やロゴが特定の商品や行為に対して、法律で独占的な使用が保証されるものだからです。事実、この名称を巡っての裁判沙汰もあったようです。しかし、果物だけを食べるというダイエットの方法は、海外も含めて昔からあったものです。

そこで本項では、たんに「バナナダイエット」と呼ぶことにし、特定の書籍からではなく、インターネット上に流布している多数の報道記事から方法をまとめることにしました。

カロリーの高い料理を食べる代わりに果物だけを取るというダイエット法は、すでに1970年代からありました。「りんごダイエット」「キウイダイエット」「マンゴーダイエット」などの流行も記録には新しいところですね。バナナに関しては、1995年に米国のクリフォード・サーロウという作家が、『簡単バナナダイエット』という本で紹介したのが最初とされています。ただし、その本はほとんど売れなかったそうです。

2008年、「朝バナナ」ダイエットが、テレビのバラエティ番組で取り上げられました。

当時のJ-CASTニュースによれば、番組中、歌手でタレントの森公美子さんがこのダイエット法で7kgやせたと語ったとかで、翌日から日本中のスーパーマーケットでバナナが品薄になったということです。

この出来事は、米国の有名な雑誌「タイム」にニュースとして取り上げられ、世界中に知れ渡ることになりました。インターネット上には、この記事を引用し、各国の言葉に翻訳された情報が広がっていきました。中には、「バナナを求めて暴徒と化した住民がスーパーマーケットを襲撃」と題し、もっともらしい写真(もちろん本物ではない)を掲げた記事までありました。

前述した「タイム」誌には、なぜか私のコメントも紹介されています。記事によれば、私は以下のように語ったのだそうです。

「ダイエットの基本は、炭水化物、たんぱく質、脂肪の三大栄養素をバランスよくとりながら、全体の量を減らしていくこと。この大原則さえ知っていれば、たとえこんにゃくダイエット、バナナダイエットなど次々に話題になったとしても、いっときの流行に振り回されずにすむでしょう」

なぜ他人ごとのように紹介したかといえば、このコメントをいつだれに話したのかよく

覚えておらず、偶然、記事を見つけてびっくりしたからです。この発言が多くの記事に無断転載され、いまでは、インターネット百科事典「ウィキペディア」の英語版にまで載っています。このコメントのせいで、バナナダイエットがすっかり評価を下げてしまった形ですが、ダイエット法の良し悪しは数行の記事で説明できるものではなく、私の真意は少し違っていました。

以下正しい評価と格付けをまとめておくことにしましょう。

一般書の例

『朝バナナダイエット』(はまち。著、ぶんか社)

『バナナダイエット+毒だしスープ』(藤本和幸監修、泉書房)

 

バナナダイエットの良い点

最近、プロのスポーツ選手が競技中にバナナを食べているシーンをよく目にします。なぜバナナなのでしょうか。

バナナは、中くらいのサイズ1本(実の部分100グラム)で、カロリーが89キロカロリ

ーほど。茶碗に1/3ほど盛ったご飯のカロリーと同じです。以下、バナナはすべて中サイズとして話を進めます。

バナナに含まれる栄養素は、バラエティに富んでいます。そのひとつが「カリウム」で、血液を下げる作用があることから、米国の学会も優良食品として推奨しているくらいです。

「食物繊維」も中サイズのバナナ1本に3グラムほど含まれています。食物繊維の多くは、消化されずに大便となって体の外に出ていくだけですが、バナナの場合、その1/3は水溶性のため腸内で分解され、一部の成分が血液中にも吸収されます。この成分は、最近の研究で大腸がん、乳がんなどの予防に効果があることもわかってきました。

さて、プロのスポーツ選手が試合中にバナナを食べる理由ですが、それは炭水化物(つまり糖分)の組成にあります。「でんぷん」「果糖」「ぶどう糖」が1本に5グラムくらいずつ含まれているのですが、それぞれグリセミック指数が異なり、でんぷんはぶどう糖に変化するまでの時間が長く、果糖はその次です。即効性のあるぶどう糖も同じ割合で含まれていて、瞬発力と持続力を要するスポーツのエネルギー補給源として理想的だというわけです。

ただし、炭水化物は激しい運動を行なうためのエネルギー源ではなく、スポーツ中にバ

ナナを食べることの効果についてはいささか疑問も残るのですが、健康に良い食品のひとつであることは間違いありません。だからといって、バナナを買い求めてスーパーマーケットに殺到したりしないようお願いします。

あきらかな肥満(BMIが27以上)、あるいは検査データなどの異常があって医師から体重を減らすように指導されている人が、一食分をバナナ1~2本くらいに置き換え、ほかの2食をいままでどおりバランスよく取る、という方法であれば、許容範囲といえるでしょう。

 

バナナダイエットの疑問点

バナナには、健康維持に絶対欠かせない「たんぱく質」と「脂肪」がごくわずかしか含まれていません。したがって一日中、バナナしか食べないという食生活を続けていれば、重大な健康障害をきたすことになります。具体的にどんな病気になるかはあとで述べますが、簡単な方法であるだけに、極端に走ってしまう人が出ることが懸念されます。

疑問として残るのは、バナナだけがダイエットに適した食品ではない、ということです。たとえば、リンゴも数々の学術調査で健康増進、とくにがん予防に効果的であることが証明されていますし、オレンジ、みかん、キウイなどもバナナに引けを取りません。バナナだけが優れていることを示す学術データはなく、ダイエット法としてこだわる理由がよくわかりません。

同様に「朝」にこだわる理由もはっきりしません。少なくとも朝食だけバナナにした人と、夕食をバナナにした人について、体重の変化を公平に比べたというデータは見当たらないのです。「水をいっしょに飲む」「夕食は8時まで」「深夜までには寝る」などの条件はバナナと関係がない話ですから、コメントするに値しないでしょう。

 

バナナダイエットの格付け

7点/10点

 

▼理由

・一日中、バナナしか食べないという極端な人が出てくる心配がある

・バナナだけではすぐ飽きてしまい長続きしない

・一日3食のうち1回分をバナナにするのは、やせる方法として許容できる

・りんご、キウイ、オレンジなど、他の果物でも効果と疑問点は同じ

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